この動画は、ピックルボール世界ランキング1位のベン・ジョンズ(Ben Johns)選手が、彼の代名詞とも言える得意ショット「バックハンドロール(Backhand Roll)」の打ち方を解説している動画です。
目次
重要なポイントと解説
1. バックハンドロールの定義と「よくある間違い」
- ノーバウンドで打つ: バウンド後の処理ではなく、空中のボール(ボレー)を攻撃する技術。
- 低いボールを攻める: ネットより低い位置のボールを、トップスピンで相手の足元や身体に沈めるのが目的。
- 【01:02】打つタイミングは「ノーバウンド」
- このショットは、バウンドしたボール(オフ・ザ・バウンス)ではなく、空中のボール(アウト・オブ・ジ・エア)に対して打ちます。
- ネットより低い位置にあるボールを、攻撃的なトップスピンに変える技術です。
- 【01:25】手首を「ワイパー」のように使わない
- 多くのプレイヤー(特に初中級者)は、手首を左右にこねる(ワイパーのような)動きで回転をかけようとしますが、ベンはこれを否定しています。
- 手首に頼りすぎると安定しません。ロールは「スイング軌道」で打つものです。
2. 回転をかけるメカニズム(フォームの詳細)
- 「下から上」の軌道: ネットを越えるために、必ず低い位置からラケットを出し、高い位置へ振り抜く。
- 面を閉じる(伏せる): 回転をかけるためにパドル面を下に向ける。
- テイクバックは小さく: 振りかぶりすぎず、体の前でコンパクトに処理する。
最重要:手首の使い方「バイクのアクセル」
- ワイパー打ちはNG: 手首を左右に振る(車のワイパーのような)動きは安定しないため禁止。
- アクセルを回す動き: バイクのアクセルをふかすように、手首を「前・下」方向へ巻き込む動きを使う。これが強烈なトップスピンを生む。
- 【02:08】「閉じた面」+「下から上の軌道」
- トップスピンを生む条件は2つだけです。
- Paddle Face(面):閉じる(下に向ける)。これで回転がかかります。
- Swing Path(軌道):下から上へ(Low to High)。これでボールがネットを越えます。
- トップスピンを生む条件は2つだけです。
- 【02:32】始動位置は「低く」
- ミスをする人は、ラケットを前に出しながら打っています。正しいロールは、低い位置からスタートし、顔の前を通って高い位置へ抜ける軌道を描きます。
- 【02:45】手首は「バイクのアクセル(Motorcycle Throttle)」
- これが最大のコツです。手首を横に振るのではなく、バイクのアクセルをふかすように、拳を前・下方向に巻き込む動きを使います。
- これによりパドル面が閉じられ、ボールを抑え込むことができます。面が開いてしまうとボールは浮いてアウトします。
3. コース戦略:なぜ「ストレート」なのか?
- クロスからストレートへ: クロス(対角線)に来たディンクを、そのまま返さずストレート(ダウン・ザ・ライン)に流すのがセオリー。
- 狙いは「チキンウィング」: 相手の利き手側の脇(右脇・右肩)を狙うことで、相手を窮屈にさせて甘い返球を誘う。
- 【03:26】クロスに来た球をストレートへ(Redirect)
- ベンのお気に入りのパターンです。クロス(対角線)から来たボールに対し、そのままクロスに返すのではなく、ダウン・ザ・ライン(ストレート)に流します。
- ポイントは、ボールがクロスから来ても、スイング自体は真っ直ぐ前(ストレート方向)に振ることです。来た軌道に合わせてスイングを引いてはいけません。
- 【03:54】狙い目は「チキンウィング」
- ストレートに打つ際の具体的なターゲットは、相手(右利きの場合)の右脇・右肩付近(チキンウィングエリア)です。ここは相手にとって非常に窮屈で、返しにくい場所です。
4. 回転の利用(スピン・コンティニュエーション)
- スライス(下回転)を狙う: 相手がスライスで粘ってきた時こそが絶好のチャンス。物理的にトップスピンがかけやすく、ミスしにくい。
- ドライブ(上回転)は我慢: 相手の球がドライブ気味の時は、無理にロールで返そうとしない。
- 【04:22】「スライス」はカモ、「ドライブ」は注意
- Spin Continuation(回転の継続)という物理法則を利用します。
- 相手がスライス(バックスピン)で打ってきたボールは、ラケットに当たると自然にトップスピン方向に跳ね返ろうとするため、非常にロールが打ちやすい(回転をかけやすい)です。
- 逆に、相手がトップスピンをかけてきたボールをロールするのは難易度が高くなります。
5. 応用:コースの打ち分け
- パドルヘッドを下げる: 同じフォームから、パドルヘッドを少し落としてボールの外側を捉えると、逆サイド(相手の左側)へボールが逃げていく。
- フリックとの違い: 手首と肘で弾く「フリック」は威力があるが、低いボールに対してはリスクが高い。まずは「ロール」の安定性を優先する。
- 【05:46】パドルヘッドを下げて「外側」を叩く
- ストレートではなく、相手の左側(センターや逆サイド)に打ちたい場合の技術です。
- スイング軌道を大きく変えるのではなく、パドルヘッドを少し下げて(Drop the paddle head)、ボールの外側を捉えます。
- こうすると、自然とボールは左方向(相手の左肩方向)へ飛びます。相手にコースを読ませないための技術です。
6. 別技術:「フリック(Flick)」との違い
- 【06:14】フリックは「手首と肘」で弾く
- 動画後半で紹介される「フリック」は、ロールとは別物です。
- フリックは手首の強さと肘の動き(Elbow snap)を使います。
- メリット: 直前まで動きを隠せるため、不意を突きやすい。
- デメリット: ネットより低い位置から打つ場合、タイミングがシビアでネットミスのリスクが高い。
- ベンは「高いボールならフリックの方が威力が出るが、低いボールはロールの方が安全」としています。